口唇裂・口蓋裂
口蓋裂の言語臨床
口蓋裂の臨床に特化した本です。それだけでなく、国試に出るような基礎知識も載っています。
発生
口唇系組織(第1次口蓋):胎生3,4〜7週
口蓋系組織(第2次口蓋):胎生7〜12週に形成される
↑境目は切歯孔
口蓋裂の種類
軟口蓋裂
軟口蓋のみに裂がある
(口蓋骨後端の欠損を伴う場合が多い)
硬軟口蓋裂
切歯孔後方の硬口蓋と軟口蓋に裂がある
片側性唇顎口蓋裂
口唇から軟口蓋にかけて裂がある
口唇の裂の程度は様々
切歯孔より前方(口唇・歯槽・硬口蓋の前方部)は片側、後方は正中の裂
両側性唇顎口蓋裂
口唇から軟口蓋にかけての裂
切歯孔より前方の裂が両側
粘膜下口蓋裂
Calnanの3徴候
@口蓋垂裂
A軟口蓋における筋肉の離断と走行異常
B口蓋骨後端のV字型欠損
鼻咽腔閉鎖機能は良好の場合もある
発生頻度
・日本では500人に1人(先天性の形態異常の中で最も多い)
・男>女(口蓋垂裂単独のみ、女>男)
・片側>両側
・左側>右側
鼻咽腔閉鎖に関する筋
・口蓋反挙筋
・口蓋咽頭筋
・上咽頭収縮筋
口唇裂の手術
手術時期
片側:生後3か月、体重6kgで手術を行う
両側で同時に手術:生後3か月
両側で2回に分けて手術:3か月と6〜7か月
三角弁法(テニソン-ランダール法)
患側に三角弁を作成して、中央唇に挿入
ミラード法
鬼塚法
他に、直線法、四角弁法、丹下法など
口蓋裂の手術
手術時期
一般には、1歳から1歳半
pushback法
@粘膜骨膜弁法
硬口蓋前方部から皮弁を起こし、口蓋の後方へ移動し、軟口蓋の筋肉の走行を整えて縫合
<術後>鼻咽腔閉鎖機能:良好、顎発育:不良の場合あり
A粘膜弁法
骨膜上で皮弁を起こし、大口蓋神経血管束を硬口蓋側に温存
<術後>鼻咽腔閉鎖機能:良好、顎発育:良好
言語聴覚士国家試験過去問題3年間の解答と解説
国家試験対策のための必需品です。解説まで覚えればかなり点数が稼げます。
Furlow法
・口蓋側と鼻腔側に逆向きのZ形成を行う
・口蓋の延長と筋骨再建を図る
<術後>鼻咽腔閉鎖機能:良好、顎発育:良好
2段階法
・まず口蓋のみを閉鎖し、6歳頃に硬口蓋を閉鎖
・チューリッヒ法では出生直後からホッツ床を装着
・声門破裂音の発生頻度が高いため、早期からの口蓋閉鎖床の使用が必要
<術後>鼻咽腔閉鎖機能:やや不良、顎発育:他の手術法より良好
顎裂部への骨移植
手術時期:幼児期(5〜6歳)から学童期(混合歯列期)
瘻孔
・発生部位は硬口蓋前方部に多い
・スピーチへの悪影響、食物の鼻腔漏出の原因となる
・ろう孔が5mm以上で開鼻声が出現
(前方部は5mm以下でも呼気鼻漏出による子音の歪みを生じることがある)
・低年齢で手術をしない場合は、ろう孔閉鎖床で塞ぐ
手術
・口蓋粘膜
・口唇粘膜
・頬粘膜
・舌粘膜
・骨移植
・耳介軟骨
・遊離皮弁 などを使用する
補綴治療
バルブ型スピーチエイド
・鼻咽腔閉鎖機能の補助を目的とした装置
・安静時呼吸時:バルブの周囲に空隙がある
・発生時:軟口蓋、咽頭後壁がバルブに接する
・バルブが大きい場合:閉鼻声、鼻呼吸障害
・バルブが小さい場合:開鼻声が改善しない
言語聴覚士のための基礎知識 臨床歯科医学・口腔外科学
基礎知識と疾患が詳しく書かれています
軟口蓋拳上装置(パラタルリフト)
・拳上子は軟口蓋の動きに応じて厚みを決める
・適応:軟口蓋の長さは十分であるが、動きが悪い
ホッツ床(Hotz床)
・手術前で哺乳障害のみられる場合に裂を塞ぐ